ばんえい記念の感動を胸に、帯広から帰って参りました。
普段、ギャンブルレースで感動はしても感傷まではいかず、素晴らしい競争に祝杯はあげても涙までは流さない私が、一年で唯一涙するレース・ばんえい記念。その感動は言うまでもなくその競争の過酷さにあるわけだが。
例えば負担重量(ソリの重さ)。普段は軽くて600キロ台から、記念で800キロ前後が、ばんえい記念では1000キロ(牝馬は980キロ)。
例えば走破タイム。普段のオープン戦だと普通で2分台、早いと1分台のレースが、今回のばんえい記念では1着の走破タイムが5分弱。同じ200メートル競走なのに! 一説では「世界最長タイムの競馬」でもあるそうだ。
まだ観ていない方は、今のうちこの凄い競争の映像をご覧ください。こちら できれば
他競争の映像と見比べると、より凄さがわかります。特にメインの第二障害では、このまま全馬が登れずに終わってしまうのでは!? とも思えるほどの時間がかかり、そんな不安ゆえに、越えた瞬間にはこちらもつい胸にこみあげてしまうのだな。実際過去にはこの競争を走ったがゆえに「潰れてしまった」馬もあったとかで、これは出す方(馬主・厩舎側)にしても
一世一代の大バクチ。もちろん客もこの年に一度の究極競争を観に遠方からも大挙押しかけ、そして張る。
これほど緊迫した、そして美しいバクチが他にあろうか。「馬がかわいそう」などという意見には悪いが全く耳を貸せない。1トンを曳き、山を登り切り、ゴールした瞬間には、自らに注がれる歓声を、栄誉を一身に受けた馬自身も、きっと満足しているに違いないからだ。「自分はこれをやるために生まれてきた。そしてやり切った」というね。
私自身、この感動は
「来年もまた絶対に観に来るぞ!」というモチベーションにダイレクトにつながり、そして毎年北海道まで足を運ぶ。確かに極端な競争かもしれないが、公営他競技にこれと同じレベルで感動させてくれる競争があろうか? まぁ、無いから毎年万難を排して帯広まで駆けつけるわけだ。
で、以下は帰りの機内で考えた半分妄想・冗談めいた提言になるワケだが…
他競技で(ましてや人間が走る競技で)、これと同種の過酷さを持ったレースを導入するのはムリがあるとしても(競輪で言えばタイヤを曳いて走るとか・笑)、やはり何か
「究極競争」と言えるような年に一度の大一番が欲しい。現在の各競技においての大一番といえば、概ね「超級選手を集めて」「年度最高の賞金」という路線に終始しているが、そうでなく、競争形態的に究極(かつ、過酷)、といえるような。例えばこういうのはできないものだろうか?
【全競技共通】
超ロング戦の大一番。競輪なら10000メートル(400バンクで25周)以上。オートなら20000メートル(40周)、競艇でも10000メートル(約17周)ぐらい。
【競輪】
・ライン戦禁止の大一番(韓国ではあるらしいが)
→客は純粋に各選手の脚力・近況のみで判断して買う。出場選手はファン投票制?
【競艇・オートレース】
・全て同一条件にて行う大一番。その競争のために用意された完全同一規格性能のモーター、ペラ、ボート(オートの場合エンジン、タイヤ、本体)で走らせる。
上記に共通して言えることは
「普段の選手側の積み重ねを(この時だけは)全てリセットする」という考え。これにより初心者客も競技基礎知識無くして買えるはずだし、メディアの煽りようによってかなりの集客が見込めるような気もする。とりあえず「出場選手情報」を面白おかしく流すのがいいだろう。そして実際の競争を見せれば、それをきっかけに普段の競争に入り込んでくる客も必ず出てくるはず。
各競技で、マンネリ化打破や、新規客獲得・客単価の向上を目指しての番組編成改革が叫ばれる中、こういう発想も面白かろうと思うのだが、いかが? 読者の方々からも各競技における「大一番の究極競争」のアイデアをぜひ!お待ちしております。限りなく実現不可能なものでも構いませんので。