つい先日まで、オートレースオフィシャルHPで、ファンからのアンケートを募るコーナーが設けられていた(現在は終了)。
以前、競輪で実施されたものと同様に、主に番組編成について問う内容で、「どんな番組が好きか」という選択式の設問に始まり、最後は「現在のオートレースにご意見を」というフリーワード形式で終了。どのぐらいのご意見が集まったのかは知らないが、JKAオートとしては、有用かつ実現可能な改革案に関してはかなり前向きに取り組む予定と聞いている。
私自身、仕事としてオートの現場に足繁く通い出してしばらく経つ。純粋に客だった頃に比べて、もちろん裏方の様々な事柄も目に耳にし、選手と日常的に話も交わしている。そんな現況の私から、今回のアンケートに応える意味でも私的「オート改革案」を提示したいと思う。
まずは、その番組編成・ハンデについて。
ぶっちゃけ言えば、現況の「ランク順ハンデ付け」はどうなのよ? というのが今回のテーマ。
立場や場合に応じて賛否両論あるのは当然として、私的結論から言えば…
1:興行(ギャンブルレース)として魅力あるものにする
→直近の実力に応じてハンデを変動させ、どこからでも買えるような番組編成
2:レースや選手の質を向上させて競技の魅力を高める
→強い選手が勝つことを前提とした番組編成
の、どちらを目的とするかによって、ハンデづけの原則を変えるべき、と考える。
オートレースを盛り上げるためには上記1・2の両方を使い分けることが必要で、SGからヒラ開催まで、全て同じ原則の下にハンデづけをするからおかしいことになる。
極端に言えば、SG・G1は2、ヒラ開催は1だ。
以前の開催体系でいえば、一年間の総決算として「SG日本選手権」があった。今でもそうだが、年間唯一のオール0Mオープン。機力、テクニック、そしてスタートと、総合力ナンバーワンレーサーが優勝して大金を稼ぐ。ファンの感動度も高い。そのかわり、バクチとしての妙味は薄い。予選から各レースとも本命ガチガチ。たまに◎選手にミスがあって敗れるとたちまち大穴配当。ギャンブル的には雨レースに近い。だから、客として選手権に臨む時には、いつもより種銭を多く準備した。自分でも一番信用できる本命選手を狙って大枚勝負!
…SGはそういう開催でいい。客側としても年に5回の「お祭り」だ。レベル高いレースを楽しみながら、車券的にもいつもと違った大勝負をして「本命選手がきっちりと来る」快感を味わう。
祭りが終われば、明日からは日常(一般開催)だ。こちらは各レース、8選手の近況成績や試走をチェックしながらハンデを勘案し「コイツがオイシイ」「これはハンデ重いからイラナイ」と推理を巡らせる。ここでは穴を狙わなければ儲からない。そしてお客に「穴」の夢を見させるのが、ハンデだ。常々言うが、オートレースのハンデって、かなりのレベルで人間の英知の結集だと思うぞ。
だから番組マンと呼ばれる方々は、今まで以上に頭を使って仕事をするべき。ここ数年やたらと増えている10Mオープンなんて、ハッキリ言わせてもらえば0・10ハンデをつける勇気のない番組マンが楽をしているとしか思えない。もちろん私はロクに買いません。
お客は普段のヒラ開催には「ギャンブル性」を期待し、ビッグレースには「高レベルのバトル」を期待する(もちろん車券も買うけどね)。そうして1年間オートレースと付き合い続けている。オートファン同士が飲んで話をすれば、ヒラ開催なら大穴配当や、このところ成績のいい下位選手の話が中心。ビッグレースならスター選手のレースっぷりが中心になる。その両方に興味を持たせてこそ一年間の興行がつながっていく。
選手にしても、競艇のように「一般戦の鬼」がいてもいい。SGのステージでは戦えないが、ヒラ開催のハンデ戦では常に車券に貢献する選手(現況では「スピードはないが軽ハンからの押さえや中ハンデからの捌きが巧みな選手ってとこか)。そんな「ヒラ開催の売上を上げる選手」を創るのは、それこそ番組マンの腕次第。ランク順にポンポンと置くだけではダメでしょう。
そんなわけで、番組編成・ハンデに関する私的改革案は以下の通り。
★ヒラ開催ではランク優先のハンデ付けは撤廃し、以前のようにあくまで8選手の近況成績・タイムをもとに日々の番組編成を行う
★SG・G1では上位下位のハンデは詰めるが、10Mオープンは全廃
そして補足として…
★本命レースと穴レースをハッキリさせる
を、ぜひ。
以前から自分でも思うし、周囲でもよく聞くのが「堅いなら堅い、穴なら穴、ハッキリせい!」である。
==========さて、ここからは別の話。
…とはいうものの、今のオートレース(特にヒラ開催)で一番難しいのがそれなのではあるまいか。本命番組が本命決着にならないことがあまりにも多すぎる。ここ1年ほどのロッカー取材の中で見えてきたのがマシンとタイヤの問題だ。
先日、某レース場でご一緒した記者さんの古くからのお知り合いのオートファンがこう洩らしていたそう。
「こんな、タイヤ一つで強い選手があっさり負けるようなレースはやってらんねぇ。もうやめる!」
タイヤ依存ここに極まれリ、の現在。永年続けてきたファンが「やめる」と宣言するほど、車券ファンから信用を失いつつあるオートレース。私が今年某G1の優勝戦でコメントを取ったある選手は「今日はもうタイヤがないからたぶんダメ」「今のオートはタイヤ100%ですよ」と言い放った。結果はそのまま惨敗。
もちろん全てがそうというわけではなく、中には「エンジンさえ良ければタイヤはそれほど関係ない」という選手もいる。しかし、現況ではファンの想像以上にタイヤへの依存度が高いことは確かだ。
元々セアというマシン自体、車速は出るが、以前の車に比べてエンジンそのもののパワーが弱い。それで(内で細かい開け閉めをする瞬発力に欠ける&タイヤに負担がかかるので)アクセル全開にして大外をブン回す走法が定着したわけだが、その結果スピードアップが行き過ぎて事故が頻発。まずはエンジンを改良(?)してスピードダウンを図ったものの、選手達が整備でまた徐々にタイムを上げ始め、それならばと導入されたのが今の「滑るタイヤ」…流れとしてはそのように理解している。
どんなに一流メーカーが作っていようとも、タイヤというアナログ製品ゆえ、年間通して寸分違わぬものを作るのは不可能だろう。それゆえ、最近よく選手コメントで出てくる「評判のいい番号のタイヤ」というものが出てくる。とにかく今の選手はかなりの時間をタイヤ探し、タイヤ作りに割いていて、見ていても「タイヤなんかじゃなく、もっとエンジン整備や走行練習に時間を使わせてあげたいなぁ」と思う。最近ロッカー取材をしていると、選手から「今、何番が評判いいんですか?」と逆取材されることも多い(苦笑)。
とにかく、今のタイヤは安定性に欠け、危険なのである。
『エンジンも乗り手もイイ調子できた本命選手が、ある日突然タイヤ一本のせいで惨敗する』
『朝練習でいいと思ったタイヤが、レースでは合わず、滑る・跳ねるで車が進まない』
『いいと言われる番号のタイヤをまとめ買いしたが、自分に合うものが一つもない』
『試走まではよかったタイヤがレース途中から跳ねだし、後半はレースにならなかった』
最近、そんな話ばかりだ。
車券を買った客が納得するとは思えない。
特に最後のなんて、試走タイムが予想ファクターとして全く意味がなくなるという、オートレースにとっては致命的なコトだ。
聞いた話では、さすがに選手会からも「バラつきが多すぎる」と、タイヤ改革の申し入れがあり、新しい規格のタイヤがすでに試験も終了済み。新年度からでも導入の見込みという。
でも、タイヤ依存のレース形態は変わりそうにない。
最大の問題は「マシンとタイヤのバランスが悪い」ことだ。
そして、車券を買うファンとして最大の問題は「信頼できるもの(本命選手・試走タイム…)がない」こと。
これらを解決するのは「レーススピードを下げる」しかない。
最近のレースを見ていて、重ハンの格上選手が負けるのは、スタートやレース序盤でワンミスあって、レース自体が速いゆえに、もうそれで追えなくなってしまう、というパターンが多い。
★レーススピードが速すぎると…
→ワンミスで置いてけぼりにされる
→重ハン選手が試走で好タイムを出してもワンミスあったり、道中タイヤを消耗すればもう追えない。
→試走タイムがアテにならない
★レースをスローペースにすれば…
→タイヤへの依存度が減る
→重ハンに序盤ワンミスあっても、後半腕で追える
→試走タイムが予想ファクターたり得る
ということだ。具体的にタイムで言えば、一般戦の6周上がりトップタイムが冬で3.50、夏で3.55ぐらいでいい。
一般戦のロッカーで、いいタイヤを持っているのに「今回は使わず、次のビッグレースに温存」なんて話を聞くと、ちょっとイヤな気分になるものだ。「じゃ、今開催はどうでもいいのかい?」 …しかし、選手たちからすれば、賞金の高いビッグで勝つためには当然のことなのだろう。
タイヤへの依存度が減れば、もうタイヤは開催ごとに同じ番号のものを全選手に支給すればいい。おっと、番号づけ自体もう必要ないか。
前検日に検車場にタイヤが山積みになっていて「好きなの持ってきな」でいい。
競艇のモーター同様「タイヤはレース場持ち」にする。
そして肝心の「レーススピードを落とす」には?
セアに代わるマシンへの一斉乗り換え…は、もう経済的にムリだ。
ならば、走路を変えるしかない。
★タイムの出ない(目の粗い)路面にする
★走路の幅を狭める
これが(できれば同時に)実現されれば、時計はかなり落ちてくるだろう。
現況のマシンで走路幅が狭くなれば、当然グリップ開け開けでの外回しレースはできなくなる。
インでの押さえ・捌きが中心のレースとなり、腕のある重ハン選手がたとえ序盤にちょっとしたミスがあったところで、最終的には捌いて本命車券に貢献する場面が増えるだろう。そしてタイヤへの依存度も減る。
現在、アウト走法で勝っているトップクラス選手は一時的に勝てなくなることは予測できるが、そこはトップ選手の技量で鍛錬を重ねてもらうしかない。オートレースをファンにとって楽しく、選手にとっては安全に続けてゆくためだ。
平成5年のセア一斉乗り換えも、元はと言えば「競争車はレース場持ち(選手は各場で与えられた車に乗る)」とすることを想定していたと聞く。結局「選手には体格の違いなどもあり、それは危険」ということで今のように選手持ちになったわけだが、言ってしまえばその時点で「企画倒れ」だったわけで。そして、その後更に対症療法的に細かいハード改革を重ねてきた結果、ともすればお客からソッポを向かれかねない状態になってしまった。ロッカー取材をする身としては、選手に対しても「今の選手は大変だなぁ」と感じる。
公営4競技全てを見ている立場から言わせていただけば、オートレースには他競技に比べて売上・集客のポテンシャルはある、と睨んでいる。売上は下がっているが、レース場には若い世代が増えているし、ファンはアツい。実際、私がギャンブル初心者の20〜40代をレース場に案内して、一番ハマる率が高いのはオートだ。レース自体カッコいいし、ハンデと試走タイムという数字でとりあえず予想ができるのもいい。そんな場面においても、強い選手は車券に絡んでもらわなくてはいけないし、試走タイムはある程度参考になってもらわなければ困るのだ。
この項をお読みになったオートファン、業界関係者の方々からのご意見ご感想をお待ちしています。
以下のどちらへでも。
メール [email protected]
掲示板 http://www3.ezbbs.net/10/3kauto/
ツイッター @sawatomoyuki
以前、競輪で実施されたものと同様に、主に番組編成について問う内容で、「どんな番組が好きか」という選択式の設問に始まり、最後は「現在のオートレースにご意見を」というフリーワード形式で終了。どのぐらいのご意見が集まったのかは知らないが、JKAオートとしては、有用かつ実現可能な改革案に関してはかなり前向きに取り組む予定と聞いている。
私自身、仕事としてオートの現場に足繁く通い出してしばらく経つ。純粋に客だった頃に比べて、もちろん裏方の様々な事柄も目に耳にし、選手と日常的に話も交わしている。そんな現況の私から、今回のアンケートに応える意味でも私的「オート改革案」を提示したいと思う。
まずは、その番組編成・ハンデについて。
ぶっちゃけ言えば、現況の「ランク順ハンデ付け」はどうなのよ? というのが今回のテーマ。
立場や場合に応じて賛否両論あるのは当然として、私的結論から言えば…
1:興行(ギャンブルレース)として魅力あるものにする
→直近の実力に応じてハンデを変動させ、どこからでも買えるような番組編成
2:レースや選手の質を向上させて競技の魅力を高める
→強い選手が勝つことを前提とした番組編成
の、どちらを目的とするかによって、ハンデづけの原則を変えるべき、と考える。
オートレースを盛り上げるためには上記1・2の両方を使い分けることが必要で、SGからヒラ開催まで、全て同じ原則の下にハンデづけをするからおかしいことになる。
極端に言えば、SG・G1は2、ヒラ開催は1だ。
以前の開催体系でいえば、一年間の総決算として「SG日本選手権」があった。今でもそうだが、年間唯一のオール0Mオープン。機力、テクニック、そしてスタートと、総合力ナンバーワンレーサーが優勝して大金を稼ぐ。ファンの感動度も高い。そのかわり、バクチとしての妙味は薄い。予選から各レースとも本命ガチガチ。たまに◎選手にミスがあって敗れるとたちまち大穴配当。ギャンブル的には雨レースに近い。だから、客として選手権に臨む時には、いつもより種銭を多く準備した。自分でも一番信用できる本命選手を狙って大枚勝負!
…SGはそういう開催でいい。客側としても年に5回の「お祭り」だ。レベル高いレースを楽しみながら、車券的にもいつもと違った大勝負をして「本命選手がきっちりと来る」快感を味わう。
祭りが終われば、明日からは日常(一般開催)だ。こちらは各レース、8選手の近況成績や試走をチェックしながらハンデを勘案し「コイツがオイシイ」「これはハンデ重いからイラナイ」と推理を巡らせる。ここでは穴を狙わなければ儲からない。そしてお客に「穴」の夢を見させるのが、ハンデだ。常々言うが、オートレースのハンデって、かなりのレベルで人間の英知の結集だと思うぞ。
だから番組マンと呼ばれる方々は、今まで以上に頭を使って仕事をするべき。ここ数年やたらと増えている10Mオープンなんて、ハッキリ言わせてもらえば0・10ハンデをつける勇気のない番組マンが楽をしているとしか思えない。もちろん私はロクに買いません。
お客は普段のヒラ開催には「ギャンブル性」を期待し、ビッグレースには「高レベルのバトル」を期待する(もちろん車券も買うけどね)。そうして1年間オートレースと付き合い続けている。オートファン同士が飲んで話をすれば、ヒラ開催なら大穴配当や、このところ成績のいい下位選手の話が中心。ビッグレースならスター選手のレースっぷりが中心になる。その両方に興味を持たせてこそ一年間の興行がつながっていく。
選手にしても、競艇のように「一般戦の鬼」がいてもいい。SGのステージでは戦えないが、ヒラ開催のハンデ戦では常に車券に貢献する選手(現況では「スピードはないが軽ハンからの押さえや中ハンデからの捌きが巧みな選手ってとこか)。そんな「ヒラ開催の売上を上げる選手」を創るのは、それこそ番組マンの腕次第。ランク順にポンポンと置くだけではダメでしょう。
そんなわけで、番組編成・ハンデに関する私的改革案は以下の通り。
★ヒラ開催ではランク優先のハンデ付けは撤廃し、以前のようにあくまで8選手の近況成績・タイムをもとに日々の番組編成を行う
★SG・G1では上位下位のハンデは詰めるが、10Mオープンは全廃
そして補足として…
★本命レースと穴レースをハッキリさせる
を、ぜひ。
以前から自分でも思うし、周囲でもよく聞くのが「堅いなら堅い、穴なら穴、ハッキリせい!」である。
==========さて、ここからは別の話。
…とはいうものの、今のオートレース(特にヒラ開催)で一番難しいのがそれなのではあるまいか。本命番組が本命決着にならないことがあまりにも多すぎる。ここ1年ほどのロッカー取材の中で見えてきたのがマシンとタイヤの問題だ。
先日、某レース場でご一緒した記者さんの古くからのお知り合いのオートファンがこう洩らしていたそう。
「こんな、タイヤ一つで強い選手があっさり負けるようなレースはやってらんねぇ。もうやめる!」
タイヤ依存ここに極まれリ、の現在。永年続けてきたファンが「やめる」と宣言するほど、車券ファンから信用を失いつつあるオートレース。私が今年某G1の優勝戦でコメントを取ったある選手は「今日はもうタイヤがないからたぶんダメ」「今のオートはタイヤ100%ですよ」と言い放った。結果はそのまま惨敗。
もちろん全てがそうというわけではなく、中には「エンジンさえ良ければタイヤはそれほど関係ない」という選手もいる。しかし、現況ではファンの想像以上にタイヤへの依存度が高いことは確かだ。
元々セアというマシン自体、車速は出るが、以前の車に比べてエンジンそのもののパワーが弱い。それで(内で細かい開け閉めをする瞬発力に欠ける&タイヤに負担がかかるので)アクセル全開にして大外をブン回す走法が定着したわけだが、その結果スピードアップが行き過ぎて事故が頻発。まずはエンジンを改良(?)してスピードダウンを図ったものの、選手達が整備でまた徐々にタイムを上げ始め、それならばと導入されたのが今の「滑るタイヤ」…流れとしてはそのように理解している。
どんなに一流メーカーが作っていようとも、タイヤというアナログ製品ゆえ、年間通して寸分違わぬものを作るのは不可能だろう。それゆえ、最近よく選手コメントで出てくる「評判のいい番号のタイヤ」というものが出てくる。とにかく今の選手はかなりの時間をタイヤ探し、タイヤ作りに割いていて、見ていても「タイヤなんかじゃなく、もっとエンジン整備や走行練習に時間を使わせてあげたいなぁ」と思う。最近ロッカー取材をしていると、選手から「今、何番が評判いいんですか?」と逆取材されることも多い(苦笑)。
とにかく、今のタイヤは安定性に欠け、危険なのである。
『エンジンも乗り手もイイ調子できた本命選手が、ある日突然タイヤ一本のせいで惨敗する』
『朝練習でいいと思ったタイヤが、レースでは合わず、滑る・跳ねるで車が進まない』
『いいと言われる番号のタイヤをまとめ買いしたが、自分に合うものが一つもない』
『試走まではよかったタイヤがレース途中から跳ねだし、後半はレースにならなかった』
最近、そんな話ばかりだ。
車券を買った客が納得するとは思えない。
特に最後のなんて、試走タイムが予想ファクターとして全く意味がなくなるという、オートレースにとっては致命的なコトだ。
聞いた話では、さすがに選手会からも「バラつきが多すぎる」と、タイヤ改革の申し入れがあり、新しい規格のタイヤがすでに試験も終了済み。新年度からでも導入の見込みという。
でも、タイヤ依存のレース形態は変わりそうにない。
最大の問題は「マシンとタイヤのバランスが悪い」ことだ。
そして、車券を買うファンとして最大の問題は「信頼できるもの(本命選手・試走タイム…)がない」こと。
これらを解決するのは「レーススピードを下げる」しかない。
最近のレースを見ていて、重ハンの格上選手が負けるのは、スタートやレース序盤でワンミスあって、レース自体が速いゆえに、もうそれで追えなくなってしまう、というパターンが多い。
★レーススピードが速すぎると…
→ワンミスで置いてけぼりにされる
→重ハン選手が試走で好タイムを出してもワンミスあったり、道中タイヤを消耗すればもう追えない。
→試走タイムがアテにならない
★レースをスローペースにすれば…
→タイヤへの依存度が減る
→重ハンに序盤ワンミスあっても、後半腕で追える
→試走タイムが予想ファクターたり得る
ということだ。具体的にタイムで言えば、一般戦の6周上がりトップタイムが冬で3.50、夏で3.55ぐらいでいい。
一般戦のロッカーで、いいタイヤを持っているのに「今回は使わず、次のビッグレースに温存」なんて話を聞くと、ちょっとイヤな気分になるものだ。「じゃ、今開催はどうでもいいのかい?」 …しかし、選手たちからすれば、賞金の高いビッグで勝つためには当然のことなのだろう。
タイヤへの依存度が減れば、もうタイヤは開催ごとに同じ番号のものを全選手に支給すればいい。おっと、番号づけ自体もう必要ないか。
前検日に検車場にタイヤが山積みになっていて「好きなの持ってきな」でいい。
競艇のモーター同様「タイヤはレース場持ち」にする。
そして肝心の「レーススピードを落とす」には?
セアに代わるマシンへの一斉乗り換え…は、もう経済的にムリだ。
ならば、走路を変えるしかない。
★タイムの出ない(目の粗い)路面にする
★走路の幅を狭める
これが(できれば同時に)実現されれば、時計はかなり落ちてくるだろう。
現況のマシンで走路幅が狭くなれば、当然グリップ開け開けでの外回しレースはできなくなる。
インでの押さえ・捌きが中心のレースとなり、腕のある重ハン選手がたとえ序盤にちょっとしたミスがあったところで、最終的には捌いて本命車券に貢献する場面が増えるだろう。そしてタイヤへの依存度も減る。
現在、アウト走法で勝っているトップクラス選手は一時的に勝てなくなることは予測できるが、そこはトップ選手の技量で鍛錬を重ねてもらうしかない。オートレースをファンにとって楽しく、選手にとっては安全に続けてゆくためだ。
平成5年のセア一斉乗り換えも、元はと言えば「競争車はレース場持ち(選手は各場で与えられた車に乗る)」とすることを想定していたと聞く。結局「選手には体格の違いなどもあり、それは危険」ということで今のように選手持ちになったわけだが、言ってしまえばその時点で「企画倒れ」だったわけで。そして、その後更に対症療法的に細かいハード改革を重ねてきた結果、ともすればお客からソッポを向かれかねない状態になってしまった。ロッカー取材をする身としては、選手に対しても「今の選手は大変だなぁ」と感じる。
公営4競技全てを見ている立場から言わせていただけば、オートレースには他競技に比べて売上・集客のポテンシャルはある、と睨んでいる。売上は下がっているが、レース場には若い世代が増えているし、ファンはアツい。実際、私がギャンブル初心者の20〜40代をレース場に案内して、一番ハマる率が高いのはオートだ。レース自体カッコいいし、ハンデと試走タイムという数字でとりあえず予想ができるのもいい。そんな場面においても、強い選手は車券に絡んでもらわなくてはいけないし、試走タイムはある程度参考になってもらわなければ困るのだ。
この項をお読みになったオートファン、業界関係者の方々からのご意見ご感想をお待ちしています。
以下のどちらへでも。
メール [email protected]
掲示板 http://www3.ezbbs.net/10/3kauto/
ツイッター @sawatomoyuki